第134章 恥辱 ※
「―――初めて女性にこんな仕打ちをしたけど……いいね、痛がるナナもとても可愛い。――――食いちぎってやれば良かった。」
その笑みに、ゾッとした。
やはりこの人は違う。普通の人じゃない……。
自分が何をしても許される、特別な存在なのだと信じて疑わない。
カタカタと、その恐怖に身体が震える。
「――――エルヴィン団長はどうやってナナを抱く?どうやって――――この身体を愛撫する?優しくなのか――――意外に情熱的なのか。ひどくするのか……。」
意地悪く囁きながら、私の身体に指を滑らせる。
「――――……言うわけ、ないでしょう……!早く、終わらせて、ください……!」
「早く終わりたければ、自分でして見せて。」
「………?!」
「思い出しながら一つずつ、自分で弄るんだ。彼の指はどう動いて――――、どう感じさせてくれた?忠実にやるんだ。――――ほら………、嬉しいだろう?大好きな彼の事を思い出せて。」
――――――――変態。
そう、心の中で呟いた。
私の心をいたぶりたいのか。
それともそういう――――……横取りする瞬間に快楽を感じる性癖か。
わからないけれど……この世界の最高権力に近い力を持ち、容姿端麗で頭脳明晰、社交界の全女性の憧れの的とも言える公爵の仮面の下は―――――、歪んだ性癖をもったイカれた男だ。
心の底から嫌悪感が沸く。
閉じていた目をついに私は開けてしまった。
溢れる嫌悪感を全てぶつけるように、息を上げてダミアンさんを睨み付ける。
「――――ああいいね、その顔も。でももうその顔は何度か見たな。次は――――羞恥と自己嫌悪に焼かれながら快楽に抗えずに喘ぐあなたが見たい。――――ほら、やるんだ。ナナ。」
ダミアンさんは私の手をとり、私の胸に宛がった。