第134章 恥辱 ※
天蓋のついた豪華なベッドがある広い広い部屋は、ダミアンさんの部屋だ。
―――――怖い……。
どうやってもこの屋敷から逃げられそうにない。
逃げるための隙を作る、その為にとはいえ、エルヴィンとリヴァイさん以外に身体に触れられる。身体を許すことになる。
それが、怖くてたまらない。
ダミアンさんが私をベッドに横たえる。
以前は――――ロイのことで泣く私に手を出さずにいてくれた。けれどあれも全て、ここまで私に信用させるためだったのなら……今日はもう、逃がしてもらえるはずがない。
ハルの忠告を聞けば良かった…
そんなことを思っても今更だ。
「震えてる。怖い?」
ダミアンさんがふふ、と小さく笑う。
「――――怖いです。それに――――嫌、です…。」
「正直ですね。」
ダミアンさんの手が、私の膝から腿に向かって滑る。
「――――……っ……!」
「――――さて、どうしようか。」
「早く、済ませて……下さい……。お気遣いなく、人形のように扱えばいい。その代わりこれが済んだら……っ、今日は……帰らせて下さい……弟が、家族が――――心配、するから……。」
身体を許しても心はあなたのものにはならないと主張するように、顔を背ける。
「――――それはできないな。ロイ君にも僕から伝えておくよ。どうせどこに行ったって逃げられない。彼らの命を僕が握っている限り。それに……人形のように扱えとは無理な話だ。できるわけない。――――そんな、勿体ないことが。」
好奇と情欲に満ちたグリーンの瞳の奥は昏くて、怖い。
その目を見られずに、ぎゅっと目を閉じた。