第134章 恥辱 ※
ダミアンさんの目が、怖い。
こんな本性を隠していたの?
冷たい――――、自分勝手な、思い通りにならないことなど存在しない、全てが描いた通りに行くんだと、疑いもしないような目だ。
そして今、なんて言った?何をしようとしているの……?
私は以前、この首にかかる翼のネックレスをダミアンさんに引きちぎられかけた時にエルヴィンの名前を出してしまった事を、今更酷く後悔した。
もう、どうやっても遅い。
ダミアンさんが指している “彼の命” ……それは今調査兵団が置かれている状況を考えても、エルヴィンのこと以外にありえない。
「――――もうすぐ王政から命が下るだろう。調査兵団は多数の民間人殺人の容疑、そして団長であるエルヴィン・スミスは――――組織扇動のうえでの民間人殺人容疑で拘束せよと。捕まれば――――その先は死刑台だ。」
「―――――……!!!!」
――――死刑。
誰を。
エルヴィンを?
頭の中が混沌としていく。
息が荒ぶる。いやだ。なぜ。どうして離れたの、私は。
どうしてここに来てしまったの。
何もかもが後悔でしかない。
なぜ、私はいつまで経っても愛する人たちに危険を齎すお荷物でしかないの。
なぜ、私は生きてるの。
絶望に似た感情をなんとかそうじゃない、まだ終わってないと言い聞かせながら、最善の解答が見つからないままダミアンさんを見上げる。
「――――いい顔をするね。まだ壊れるには早い。死刑台で彼の最期を看取ってから僕のものになるか、彼の命を助けるために僕のものになるか、どちらがいい?」
「………いや……、どっちも………嫌です………!」
「――――僕はあなたの愛する人たちの命を左右できる。彼の首を縛るその号令を下せる。」
「――――………そんな……ことを……一部の民衆は、きっと許さない……!調査兵団は巨人に立ち向かう、人類の反撃の象徴ですよ……!」
「――――どうとでもなる、民意など。」
ダミアンさんの手が、私の腰に添えられて引き寄せられる。ガタガタと身体が震える。