第134章 恥辱 ※
「ふふ……、あなたはなぜそんなに僕を信じきっているのかな?」
「―――――え……?」
「あなたが拒否したら、『それは残念、はいそうですか。』と――――、紳士的に帰してあげると微塵も疑ってない。それはね、―――――そう信じるように僕が今まで時間をかけて刷り込んで来たからだ。」
「――――………。」
嫌な汗が、滲む。
だって。
だって………ずっと紳士的に話せる、人だった。
女性を無理に自分のものにするような人じゃないって……用意周到に策を巡らせるけれど、力づくで意志を無視したことはしなかった。
ずっと。
それがそもそも………少しづつ張られていた罠だなんて思いも、せずに―――――……。
――――だから私はのこのこと、1人でここに来た。
「――――ああ、我慢し続けた甲斐があったな。わざわざ捕食されに、あなたから来るなんて。」
「――――や……!」
冷や汗が背中を伝う感覚に身震いする。
ガタッ、と音を立てて椅子から立ち上がったその腕を――――簡単に捕らえられた。
「どこにも帰れないよ。――――大丈夫、体のことも……この世界で最も秀でた医療を受けさせる。家のほうも悪いようにはしない。あなたは人形のようにただ僕に愛でられて――――、僕の子どもを産んで、この屋敷の中で笑ってる。それだけでいいんだ。」
「――――嫌だ、私は――――人形じゃ、ない……っ……!」
「――――今に人形のように抜け殻になる。全てに絶望して僕に縋るなら――――、彼の命は助けてあげてもいい。」