第133章 波瀾
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サネスが吐いた事実―――――レイス家が本物の王家だという事を二ファがエルヴィンに伝達。すぐに返事を持って帰ってきた。
―――――俺の班……当の本人にも、まだこの事実は伝えていない。
エルヴィンの指示を共有するとともに明かすことになる。
そうなるように、あえて伏せていた。
それは―――――複雑な身の上のヒストリアにさらに残酷な未来を示唆することで、動揺が生まれ―――――、仲間意識の強いこいつらの中でそれは増幅しうるからだ。
エルヴィンの指示と共に明かすことで、『やるしかない状況』を俺が作った。
――――ヒストリアには酷だと思うが、人類を――――、この世界を―――――………ナナが笑って生きていけるための世界を勝ち取るためなら、俺も手段は選ばない。
「ニファ、話せ。」
「はい。では……ヒストリアをどうやって女王に即位させるかの件に関してですが……。」
「―――――え?」
「………?」
「女王……?」
――――ヒストリアも、その他の104期全員がきょとん、とした顔をする。当然か。
「え……リヴァイ兵長?言ってなかった……んですか…?」
二ファも思わずその先を噤んだ。
「……俺の班には言い忘れてたが。現在のフリッツ王家は本物の王家の代理みたいなもんで、その本物の王家はレイス家だ。」
みるみるうちにヒストリアが青ざめていく。
アルミンが、今回の話の要点を問う。
「ヒストリアを女王に即位させると聞こえましたが……それがこの革命の主目的ということでしょうか?」
「その通りだ。ヒストリア、感想を言え。」
「………あ……、私には………無理、です……できません………。」
「だろうな。突然この世の人類の中の最高権力者になれと言われ『はい、いいですよ』と即答できるような神経してる奴は……そんなに多くはないだろうな。……だが、そんなことはどうでもいい。やれ。」
ヒストリアに圧力をかけながらにじり寄ると、ヒストリアは怯えた小動物のように震えながら目を逸らした。