第133章 波瀾
エレンがライナーとベルトルトに攫われ、しばらく巨大樹の森でユミルも含めて体力回復のための時間を過ごしていた時の会話を、思い出せる限り紙に書き起こしてくれたという。
私はそれを読んで驚愕した。
――――ユミルは元々、壁の外をうろつく知性のない巨人だった。
ライナーとベルトルトの仲間を食ったという話から、そこで人間に戻ったのだと推測される。
――――つまり私たちが奇行種捕獲作戦の時に出会ったユミル―――――、“ジャック”は、ライナーとベルトルトの仲間を食ったあと―――――その能力を引き継いで、人間として壁の中に潜入するまでの間に彷徨っていたユミルだったのだろう。
そしておそらく―――――人間に扮して壁内に入れたのは、私たちに出会った直後。
―――――何十万人という一般市民と巨人が戦うその地獄絵図の中でなら――――、巨人から人に戻って壁内に入り込むことができたと考えられる。
更にその仮説が正しいなら、特殊な巨人の力は“食う”ことで継承されるのなら、ライナーがエレンを奪われそうになった最後の手段として、巨人を投げて寄越した行動に整合性がある。
“エレンでなくてもいい”んだ。
その能力を継承した者を連れ帰ることができるのなら。
「――――なんてことだ……。」
「ハンジさん?」
「――――エルヴィンのところに行く!!ありがとうエレン!!!」