第133章 波瀾
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リヴァイの目論見通り―――――サネスはラルフの裏切りによって絶望し、全てを吐いた。
ラルフは何も話しちゃいないのに。
私たちが作った文章を、読ませただけだ。
――――あたかも、自分の身可愛さにサネスを、王を、早々に裏切ったような文句を。
――――冷静に聞けばそれが嘘だとサネスも見抜けたかもしれないけれど、それができなかったのは少なからず―――――リヴァイの殴打や私が爪を剥がしたり歯を無理矢理抜いたりの拷問で心中揺さぶられていたからなのだろう。
―――――そう、あの拷問に意味があったと、思いたい。
地下牢でラルフとサネスを引き合わせると、そこはもう修羅場だった。ラルフを裏切者と罵って殺そうとするサネスに、真実を告げる。ラルフはなにも喋っていなくて―――――結局吐いた、王を裏切ったのはお前自身だと。
私を見上げて―――――涙ながらにサネスは言った。
「―――――悪魔……!」
「――――そりゃ否定はしないけど、ニックにもあんたらがそう見えただろうね。」
――――ニックが強盗に殺されたというにはお粗末すぎる偽装。それは自分たちが何をしても、誰にも咎められないからだ。この世界の最高権力から命令されてやったことなら尚更、罪を負うこともなければ良心が痛むことすらないのかもしれない。
むしろ愉悦が混じっていたとしたら。
――――ニックが受けた以上の苦痛を味合わせてやると、あの日ニックの亡骸を見た私の心に悪魔が住みついたんだ。
「本ッ……当に惨めだよ……おっさんが泣いて……喚いてみっともない。ざまあみろ!!!!ばーーーーーーか!!!!!」
私が怒りに任せて投げる暴言にも反応することなく、サネスはただ涙を流していた。
――――今更まっとうな人間ぶるんじゃない、お前は――――、お前たちは―――――、王の権威を盾に、人類の文明の発展を阻害し、罪もない多くの人々を苦痛の末に虐殺した。
「そこでクソするだけの余生に生きがいでも見出してろ!!じゃあな!!!!」
捨て台詞と共に、顔も見たくないそいつらの元を去ろうとする。すると、小さく弱々しい声でサネスが呟いた。