第133章 波瀾
「―――なるほど、それは許せないかもしれない。心を、折れるかも。」
「ラルフを使って―――――あいつが早々に吐いたように見せかける。おそらく――――その小さな芝居でサネスの精神は叩き折れる。折れれば吐く。簡単なことだ。」
「…………そうだね………。」
「あ?なんだその顔。」
ハンジは少し困ったように、やれやれ、という顔をした。近くに控えていたモブリットが何かを察したように、席を外した。
「――――リヴァイのその洞察力と頭のキレ方がエルヴィンに似てるなって。……頼りになるよ本当に……うちの兵士長は。」
「…………。」
「――――拷問ってさ、リヴァイやったことあるの?」
「あ?ねぇよそんなもん。――――まぁ、近しい制裁はあるが……全くの無抵抗な奴を痛めつけるのは初だな。」
「だよね……私も人間の拷問がこんなに苦しくて難しいとは思わなかった……。それなのに、君は淡々と顔色一つ変えずにこなすから。」
ハンジははぁ、と深くため息をついて、少し背を丸めて椅子に座った。眼鏡が光に反射してその表情は見えない。だが――――いつもの奴じゃないことはわかる。