第132章 仲合
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――――奴らはとても大胆で――――とても単純だった。
調査兵団支部があるトロスト区を敵も警戒していたのだろう、大通りを歩いただけでそれは起こった。調査兵団への不満と金品をたかるために市民が集まって来たところに馬車で突っ込んできて――――偽エレンと偽ヒストリアを力づくで奪取した。それが罠とも知らねぇで。
「――――中央憲兵のやり口じゃねぇな……。」
なにかチンピラでも雇ったのだろう。
おそらく潰すのは容易い。奴らが入っていった人気の無い倉庫を、俺とミカサ、コニーとサシャで取り囲む。
「中の様子はどうだ?」
偵察に行っていたミカサが戻った。
「急がないと……アルミンの変装がばれてしまいます。それに……可哀想です。」
可哀想?一体何をされてんだ……まぁ……女に見えなくもないからなあいつは。
「そうか。」
「足の調子はどうですか?」
「割と動くようだ。悪くない。」
「――――兵長、見張りが減ります。親玉を呼びに行くんでしょうか。」
「ああ。――――仕掛ける。表の見張りをやれ。その内に潜り込んで――――中で叩く。」
サシャとコニーには外につけておく。
こんな程度の奴らなら、俺とミカサで十分だ。息を潜めていると――――商会のボスと思われる男が入ってきた。
見覚えがある。
翼の日に何度か見た。
――――こいつらは、リーブス商会だ。
ミカサの間合いに足を踏み入れた瞬間、ミカサが取り巻きの内の1人をのした。
もう1人も俺が片付けて――――こともなく、全員を縄で縛りあげる。
「――――あんたがなぜこんなことをやってるのか……聞かなくちゃな、リーブス商会会長。」
「――――ちっ………。」
「あんたの巣じゃ落ち着かねぇ。場所を変えよう。」