第131章 火蓋
「いいの、リヴァイ。」
「あ?」
「――――下手したら、二度と会えないかもしれない。」
ハンジがいつになく弱気だ。いつ死ぬようなことになっても、おかしくないと示唆する。
「――――会えても、会えなくても同じだ。」
「え………?」
「会えなくても苦しい。――――が、顔を見ていても――――苦しい。だから、同じだ。」
我ながら情けねぇ言葉を零したと思った。
またハンジに変に絡まれると思ったが、ハンジは優しく、少し悲しい目を俺に向けた。
「――――君の世界は、変わった?」
「――――あ?」
「ナナが側にいれば、君の世界は変わると言ったろ?」
「――――………。」
そう言えばナナと王宮で再会したあの日にハンジが言った気がする。
「――――ああ。変わった。世界も――――俺も。」
「ふふ、いつになく正直だね!」
「――――うるせぇ……。」
「――――さて!兵士長殿の惚気はこのくらいにしといて!今後の作戦を練らなくちゃね!」
「てめぇが吹っかけて来た話題だろうがクソメガネ。」
「とにかくもう明日から実験を詰めて行こう。」
「――――ああ。」
こうして俺達は、その翌日から――――エレンの巨人化の力の使い方やできることと出来ない事の区切りを明確にするための実験を始めた。