第131章 火蓋
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今後の方針を固めたところで、ガキ共には晩飯の支度に行かせる。俺とハンジは今後の動きの詳細を詰めるべく、その場に残った。
――――ニックが殺された。
嫌な流れだ。
血で血を洗う争いが、始まった。
巨人と闘う前に人間同士で潰し合う、ざまぁねぇ。
「――――ねぇリヴァイ。」
「――――あ?」
「ありがとう。」
「なんだ。」
「――――リヴァイはいつも背中を押してくれる。」
「――――てめぇがいつもの様子じゃなかっただけだろう。いつものお前なら俺の助言なんてなくても、動けたはずだ。」
「――――褒め言葉、ありがたく受け取っておくよ。」
「………ちっ………。」
「あとね。ナナが王都に帰ったよ。」
ハンジの言葉に、一瞬言葉が詰まったのは――――、ロイを呼んだのは確かに俺だ。
だが――――あいつが望むように、例え命を落とすとしても俺達の……いや、エルヴィンの側にいたいのなら――――……と迷いが生まれていたからだ。
「――――……そうか……。」
「…………。」
「…………ナナは………。」
「ん?」
「――――泣いて、なかったか………。」
小さく問うと、ハンジはなぜか少し嬉しそうに、切なそうに笑った。
「――――私が会った時には泣いてなかったけど、目が真っ赤だった。エルヴィンが説得したんだと思うよ。」
「――――そうか………。」
――――共に死なせるつもりでいやがったエルヴィンが、ナナを帰した。
その心境の変化はなんだ。何があった?
あいつの考えていることはつくづく、理解できねぇ。