第131章 火蓋
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104期の中で生き残った奴ら。
ミカサとアルミン、ジャンにコニーにサシャ。そしてヒストリアと数名の先輩方と俺達は山奥の小屋に隔離されていた。
食料を運び込んで、掃除をする。
――――この感じは、あのペトラさんやエルドさん、グンタさんやオルオさん……リヴァイ班のみんなと過ごしたあの時間を思い出す。――――俺が判断を間違ったから失わせたあの人達との、時間を。
最初は俺に敵意を向き出しで――――相容れないものを見るような目だった彼らと徐々に打ち解けて――――信じて貰えるようになった、ところだった。
俺がそれに甘えたせいで、彼らを死なせた。
――――そうだ、大切なら、どんな手段を使っても――――自分で守らなきゃいけないんだ。そう、痛感した。
その日リヴァイ兵士長が来て、小姑みたいに掃除の出来を調べ上げて――――、案の定掃除が足りてないとお叱りを受けた……。だから俺はあんなにしっかりやろうと言ったのに、ジャンを始め、みんなてんでちゃんと掃除しねぇから。怒られる羽目になっちまった……。
――――その後しばらくして、ハンジさんもやってきた。なぜだろう、ハンジさんの様子が――――いつもと全然違う。いつもなら俺を見かけたら、興奮の対象であると言わんばかりに鼻息を荒くして色々と質問しては、無茶な実験構想を聞かされ続けるのに。今日は――――とても静かだ。
その理由はすぐに打ち明けられた。
ハンジさんが匿っていた、ウォール教のニック司祭が殺されたからだ。彼は壁の秘密と巨人の秘密について何かを知っていて、自分は話せないけれどヒストリアにその権利があると俺達に情報提供をした人物だ。――――だから、殺されたんだ。
そして殺したのはまさかの、同じ兵団である中央憲兵だという。王政直属の兵隊である奴らが、調査兵団に何を知られたくない?それだけ嫌がるってことは――――よっぽど都合の悪い事実を、秘密を、王政側が握っているってことだ。