第11章 交錯
「俺の横に並ぶ必要はない。ガキはぬくぬくと守られてろ。」
ガキ、という言葉にカチンと来る。
それこそ、子供の反抗のように私は声を荒げた。
「……っ……ガキじゃないです!!」
「………ちっ……………。」
思わず声を荒げた私の手を引き、リヴァイさんは私を執務室に押し込んだ。
壁に手を付き、扉を背に私を囲い込む。
「いつの間に、こんな聞き分けが悪くなった。」
「……凄んだって、怖くありません。」
私はフイッと顔を背けて、反抗の意志を見せる。
「反抗的な部下には、躾が必要だな。」
リヴァイさんの手が、私のブラウスのボタンを外していく。
「や、めてください……!」
「ガキじゃねぇと、証明してみるか?アウラにしたように、して欲しいんだろう。」
「そ……れは……!」
リヴァイさんが、私の首筋に残る最後の痣に唇を這わせる。
その感触に、身体にピリッと小さく刺すような刺激を感じた。
徐々にリヴァイさんの瞳の奥に、熱とともに苛立ちが宿り始めた。
「………こんな遅くまで、平気で男の部屋に二人きりでいるところが………あの一件から何も学んでねぇところが、ガキだって言ってんだ。エルヴィンだって男だ。お前を組み敷くことなんて造作もねぇぞ。……あぁそれとも、俺を誘ったように、お前からエルヴィンを誘ったのか?」
その言葉に、私はカッとしてリヴァイ兵士長の頬を平手で打っていた。
避けもせず、驚きもせず、少し乱れた前髪の隙間から苛立ちの込もった冷たい眼差しが私を見下ろした。