第128章 苦悶②
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ウォール・ローゼの破壊の一報から今日で5日。
ウォール・ローゼの住民をウォール・シーナ内の地下街で受け入れたものの――――生きる場所も、食い物も到底足りるわけがなく――――、余所者が流れ込んで来た上に自分たちの生活が脅かされた地下街の元々の住民の暴動が起き、それを押さえるための憲兵の兵力行使が行われたとビラが舞った。
ピクシス司令主導の再調査によってもウォール・ローゼ内にこれ以上の巨人の出現は確認できず、今まさにウォール・ローゼの住人の生活を元にもどすべく議論がされているようだ。
――――思いの外こういった動きが早かったのも、王都の豚共が、ウォール・ローゼが突破されれば自分達に不利益を被ることを身をもって知ったからだろう。
「―――ハンジ、コニー。頼んだぞ。」
「ああ、リヴァイ。エルヴィンとナナを宜しくね。」
「ああ。……コニー……。」
「はい………。」
いつもいつもうるせぇコニーが、目を伏せたまま返事をする。ハンジ率いる小隊で、身動きができない奇妙な巨人が出現したというラガコ村の調査に向かう。可能な限りその巨人を拘束、研究するためだ。ラガコ村出身のコニーを連れていく。俺達の中で組み上がってきている嫌な仮説の真偽を確かめるのに、必要だ。
「目を逸らすなよ。どんな現実であれ……お前にしかわからねぇことがあるだろうからな。」
「はい………。」
コニーにとって酷な任務だ。だがその仮説の真偽は今後の命運を左右するほど重要だ。
「――――胸糞悪ぃ話に、ならなきゃいいが……。」