第11章 交錯
「まさか、行く気じゃねぇだろうな。」
「もちろん行きますよ。……そのために、調査兵団に入団したんですから。」
「………死ぬぞ。」
「……っ……覚悟の上です。」
「お前じゃない。お前のために、大勢の兵士が目の前で死ぬ、と言っている。」
「………!」
「………自分の身、くらい……!」
「自分で守れたか?たかが人間一人相手に、守れなかったと自分を責めていたのは誰だ?」
「っ…………!」
何も、言い返せない。
リヴァイ兵士長の言う通りだ。
「お前は貴重な存在だ。エルヴィンはやすやすと死なせるような隊に置くことはしない。………だからこそ、代わりに死ぬ兵士が他にいる。それは、お前が同行して救える兵士の数と、どちらが多いかは明白だ。」
「そ………れは…………。」
「なんの犠牲も払わないように見せかけてまで、お前の意志を尊重しようとは、俺は思わない。」
リヴァイ兵士長の言葉は、いつも的を射ている。
エルヴィン団長にも壁外調査へ赴くことへの覚悟は促されたが、それは私に罪悪感を抱かせないよう、私の命の保証はできない、という言い回しだった。
より残酷で、より覚悟のいる事実を突き付けられた時、私はそれでも行く、とは言えなかった。
「行くな。ここにいろ。」
「…………でも………っ……私は…………。」