第11章 交錯
「もうこんな時間か。済まないナナ、つい夢中になってしまって。」
「いえ!こちらこそ、時間が進むのが惜しいほど、楽しい時間でした!」
急いで身の回りを片付け、団長室の扉へ歩を進める。
「話しきれなかったこともまだたくさんある。またの機会に、ぜひ話そう。」
「はい!夜遅くでも構いません、呼んでくださればいつでも参ります。」
私は満面の笑みで答える。
エルヴィン団長は困ったように笑うと、私の頭にポンと手を置いた。
「………そうだな。だが、男の部屋に呼べばいつでも来る、という言葉は選ばない方が身のためだな。」
私はエルヴィン団長の言葉に、思わず顔が赤くなる。こういうところがダメだと、この一件で嫌程身に染みたはずなのに、自分の愚鈍さが恥ずかしくなる。
「……おやすみ、ナナ。」
「おやすみなさい、エルヴィン団長。」
団長室から出ると、辺りはもう静まり返っていた。
みんなもうとっくに眠りについたのだろう。だが、すぐに隣の部屋のドアが開いた。
「……………随分遅ぇじゃねぇか。」
「………リヴァイ兵士長………。」
あれからずっと、リヴァイ兵士長は機嫌が悪い。
「………壁外調査への参加の意志を聞かれただろう。」
「はい。」