第1章 出会
「……!エイル!!!」
「ワーナーさん!!」
ワーナーは、エイルをきつく抱きしめた。
「良かった……!何か、あったのかと……!!リヴァイ、本当に礼を言うよ。ありがとう……!」
「………。」
時計塔から落ちたことは、敢えて言わなかった。
エイルはワーナーの腕から離れると、深々と俺に向かって頭を下げた。
「リヴァイさん。本当に……ありがとうございました。」
エイルは何かを思い出したように、持っていたかばんの中にゴソゴソと手を入れ、しわだらけの紙袋を取り出した。
「あの……これ……お菓子……良かったら、お礼に受け取ってください。」
その紙袋を両手で俺に差し出した。
「………ガキが変な気を使う必要はない。俺は甘い物は食わねぇ。」
俺の言葉に、しゅんとした表情で目線を落とした。
「……お前のおかげで喉が渇いてんだ。ワーナー、この前の紅茶を淹れてくれ。」
「ああ。すぐにな。」
「リヴァイさん、紅茶、好きなの?」
エイルは先ほどの落ち込んだ表情から一転、目を輝かせて俺を見上げた。
「ああ。あれは悪くない。」
「わっ、私が淹れる!!」
少し照れたようにそう言うと、ワーナーを追っていった。