第1章 出会
「いっ……た………。」
腹の上に乗った小さい体から発せられた声で、ひとまずガキが無事だったとわかった。
「………俺の方が、痛ぇよ………。」
俺の声を聞き、ガキがハッと俺の顔を見上げた。
俺を心配しているのだろう、眉は下がり、長い睫毛に縁取られ、大きく見開かれた濃紺の瞳にはうっすらと涙が溜まっているように見えた。
真っ白な肌にかかる、白銀のふわふわとした髪は落下の衝撃で少し乱れている。
じじぃが心配するのも無理はねぇ。
こんな俺でさえ、綺麗な生き物だと思ったのだから。
「大丈夫ですか?!ごめんなさ……!わ、私のせいで……!」
エイルは俺の無事を確かめるように、小さな両手で俺の頬を包んだ。
「……あぁ、なんとかな。それよりもそこをどけ。いつまで腹の上に乗ってんだ。」
「あ……!」
エイルは慌てて俺から離れると、その場に座り込んだ。
「………ワーナーが待ってる。一緒に来い。」
「は……はい!」
俺は立ち上がると、エイルに背を向けて歩き出した。
小さな足音が、パタパタとついて来ていることを確認しながら、ワーナーの家へと向かった。