第126章 代償②
「――――止血、自分でしたの?さすがです、エルヴィン団長……。」
とはいえ血液を失い過ぎている。
一刻も早く病院に運ばないと。
次々にリフトで上げられてくる兵士の中から重傷者を選定して、馬車に乗せてすぐにトロスト区に向かわせる。
――――だけど、今は兵士長も分隊長のお2人もいない。
私がここを離れてしまえば、このあとの指揮を誰が――――、と見渡した時、その人がようやくリフトで最後に上がってきた。
「――――サッシュさん!!!」
「ナナ……!エルヴィン団長は…?!」
「ええ、すぐに病院に運ばないといけないです。私も同行したいのですが―――――。」
「行けよ。ここの指揮は俺がやる。」
「………はい!!」
なんて心強いんだろう。
サッシュさんは、拳を握って私に向かって差し出した。
いつもリンファと交わしていたように――――私もまた、拳を握ってサッシュさんのそれと合わせる。
「――――怪我人を頼む、ナナ。」
「はい、サッシュさんもこちらを――――頼みます。」
「任せろ。」