第126章 代償②
かろうじて投げ込まれた巨人に当たることはなく避けきれたが――――、馬が脚をやられた。
地面に投げ出され、立つこともままならない。
「団長!!!」
「私の代わりはいる!!それより……エレンを連れて離脱しろ!!!一刻も早く!!」
私の指示を聞き届けたその兵士も、あっけなく――――目の前で食われた。その巨人を背後から削いだのは―――――サッシュだ。
「――――あなたの命も諦めるわけには、いかないんですよ。俺は……!」
「………命令、だぞ……。私はいい。エレンを………!」
「――――わかってます。エレンも取り返して、エルヴィン団長も生きてナナの元に返す……!!それが俺の―――――ここにいる、理由だ。おいフィオ!!!」
「はっ、はいっ……!」
「ここは俺が引き受けるからお前は馬を調達して来い!エルヴィン団長を死なせない!!」
「はい!!!」
意識が朦朧とし始めて―――――サッシュが戦って、その向こうでは意識を失ったジャンをなんとかアルミンが守ろうとしている。
エレンは―――――エレンはどうなった??
なぜ、ライナーは巨人を投げた……?
エレンが食われたらどうする。
――――いや、食われてもいい、そう言う事なのか……?エレンの能力は―――――……移行していく、のか……?
色んな考察が頭を巡るが、息を整えなくては。
今ここで――――倒れるわけにはいかない。