第126章 代償②
「誰がッ!!!人なんか殺したいと!!……思うんだ!!!」
「――――……。」
「誰が好きでこんなこと!!こんなことをしたいと思うんだよ!!人から恨まれて……殺されても当然のことをした……取り返しのつかないことを……。でも僕らは……罪を受け入れきれなかった……。兵士を演じている間は少しだけ……楽だった……。」
嗚咽交じりにベルトルトは、ひたすらにその苦しい胸の内を吐き出した。
「嘘じゃないんだコニー!!ジャン!!確かに皆騙した!!けど!!全てが嘘じゃない!!――――本当に仲間だと、思ってたよ!!!僕らに……謝る資格なんてあるわけない……けど……誰か……!」
こいつらは、何に苛まれているんだ。
仕方なかったと、やらざるを得なかったんだと言うのか。
そう言えばライナーも壁上で言っていた。
『こんな奴らと3年も暮らしたせいだ』と。
俺達と過ごした時間が、こいつらにとって想定外に気持ちを揺さぶるものになってしまったのか。
嘘じゃないだと?
――――結局嘘だらけだったじゃねぇか。
一体何が本当で、何が嘘だったのか―――――もう、わかりたいとすら、思わねぇ。
「――――頼む、誰か……お願いだ……。誰か僕らを―――――見つけてくれ……。」
ベルトルトの涙ながらのその言葉は、小さく呟かれたのにはっきりと―――――俺達全員の耳に、届いた。
「ベルトルト。エレンを返して。」
「……駄目だ、できない。誰かがやらなくちゃいけないんだよ……誰かが……!自分の手を、血で染めないと……。」
――――誰かのために、殺した?誰かがやらなくちゃいけない。それは――――俺達が、俺の母さんが――――、俺の仲間が――――、死ぬことを望んでいるなにかが存在するってことなのか。
その時、サッシュ班長の声が聞こえた。
「お前ら!!そこから離れろ!!」
遠くの方から、多くの巨人の足音と思わしき地響きが、聞こえた。