第126章 代償②
目を開けてすぐ状況を理解した。八方から攻撃を仕掛けて来る調査兵団からライナーとベルトルトを守っているのは、巨人化したユミルだ。
くそ、こいつの思惑もよくわからねぇままだったが――――、結局は俺達の敵ってことだ。
その瞬間、ユミルの目を切り裂いた兵士がいた。
なびく自由の翼。
―――――ミカサ。
ユミルに一撃を与え、ユミルが怯んだ隙にライナーの肩まで攻め入ってくる。俺を背負ったベルトルトは、怯えた表情でライナーに助けを求めた。
ミカサの刃がさっきの壁上でベルトルトの首を一閃したのと同じ軌道で神速とも言える速さで振りぬかれたが――――ライナーの手によって保護されたベルトルトにその刃は届かず、硬質化したライナーの指に刃がギィンッと弾かれ、砕け散った。
だが、ユミルの力を削いだ隙に他の兵士もライナーの肩に飛び乗って来れたのか、同期の奴らの声が聞こえる。
俺だって少しでも抵抗すべく、ライナーの指の中で暴れてベルトルトとの拘束をなんとか解けないかと試みる。
「や、やめろエレン!!暴れるな!!」
ベルトルトが叫ぶが、そんな話聞いてられるかよ。冗談じゃねぇ。
「そりゃ無理があるぜベルトルト!そいつをあやしつけるなんて不可能だろ?!」
これは――――ジャンの声だ。
「うるさくてしょうがねぇ奴だよな!!よーくわかるぜ!俺もそいつ嫌いだからな!!一緒にシメてやろうぜ。まぁ……出てこいよ。」
「ベルトルト!!エレンを返して!!」
「なぁ嘘だろベルトルト?ライナー?今までずっと……俺達の事を騙してたのかよ……損なの……ひでぇよ……!」
泣きそうな声は―――――コニーだ。
こんなにも、俺を追って――――来てくれたのか。