第126章 代償②
気が付いたら俺は拘束されてベルトルトに背負われて――――巨人化したライナーの肩に乗っていた。
目を開けて飛び込んで来たのは、恐らく俺を取り返そうとアンカーを打って攻撃をしかける兵士。そしてその後ろには―――――サッシュさんやミカサ、アルミン、ハンネスさんも馬で俺達を追って来ている。
俺はまた負けて―――――みんなに迷惑をかけているんだ。
そう、巨大樹の森の木の上で目を覚ました時は、切断されたのであろう両腕から蒸気が立ち込めていた。
夜になって巨人が動けなくなるまで休息をとろうとしていたそこでユミルとライナーとベルトルトと交わした会話は不毛で。
ただただ俺の大事な家族や仲間を散々殺しておいて、“俺はその罪の意識に耐えられない”とでも言いたげに悩んでいる素振りを見せる。
こいつらに悩む権利なんてない。
失われた命は、悩むことすらできない。
もうここにいない。
これ以上の話をしたところで、俺の中で確かな憎悪が募るだけだ。
その両腕の修復など待っていられないほど、今すぐ巨人化して今すぐ―――――ライナーとベルトルトをぶっ殺して――――、苦しみぬいて死なせてやると、それこそが俺のやるべきことだと思ったのに。
俺の身体は衰弱していたのか、ライナーが言った通り体力が残ってなきゃ巨人化できないらしい。身体の修復を優先しているから余計にか。
ユミルから何かを聞き出せそうだったのに、ユミルはどうやらクリスタを助けるという条件をライナーとベルトルトに提示され、結局は大事な情報に口を閉ざしてしまった。
そこからライナーに締め落とされて気を失って――――気付けば今、この状況だ。