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【進撃の巨人】片翼のきみと

第125章 代償




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巨大樹の森の西側から回り込み、その鬱蒼とした森に差し掛かろうとしたその時―――――、一定の感覚で地鳴りがした。

これは、巨人の――――足音だ。

かなり大型の。

――――鎧か?そう思って周囲を見回すと、僅か数十m先を、巨大樹の森から平野へと夕日に向かうように駆けていく鎧の巨人を見た。そしてその肩には――――我々の目標である、エレンの姿。



まだそれぞれが多くの巨人と戦闘中だ。

いや、好都合だ。



巨人化しても、奴らもまた我々と同じように知性のない巨人たちの襲撃を受ける。

だからハンジの読みどおり、この巨大樹の森で体力回復を待っていた。







「―――――使えるものは、使うまでだ。」







手綱をぐん、と引き、馬の方向を急転換する。







「各班!!巨人を引き連れたままでいい!!私についてこい!!!!」







私の号令に、憲兵団の面々が戦々恐々とした目で、まるで死への案内人でも見るような目で私を見る。

普通はそう、こういう表情になるものだ。わかっている。



調査兵団の皆が―――――特殊なのだ。



志を高く、誇り高く戦える私の同志たちが。





「エルヴィン……!この悪魔!!!また俺達を囮にするつもりか!!!」





――――そう見えるか。

悪いな、あながち間違ってはない。

だが少し違う。






端から囮にするつもりなら―――――もっとうまく、やっている。







「そんなつもりはない!!憲兵団はよく戦っている!!兵士の本分に努めよ!!」







彼らには理解しがたいだろう。

自分の命が何より大事だ。恥じる事ではない。

人として生きていくために大切な本能だ。



――――だが我々は兵士であり、心臓を捧げた身。

人類の未来のために心臓捧げたその時から、その命を賭ける覚悟はできているはずだろう。

エレンの力なくして人類の存続はない。





人類の未来を賭けたここ一番で――――――心臓を捧げる、それこそが“兵士の本分”だと、私は説きたい。


もちろん、私も例外なくだ。




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