第125章 代償
「鎧の巨人がエレンを連れて逃げる気だ!!何としてでも阻止するぞ!!!」
方向転換をして鎧を追うその時、後ろからサッシュ率いるミカサやアルミン、ジャンの騎馬班が目に入った。
サッシュはうまくあの班を動かすだろう。
追いつくはずだ。
更にそこにミカサがいるのなら――――エレンへのその異常なまでの執着心で、必ず鎧に攻撃を仕掛ける。
リヴァイに次ぐと言っても過言ではないその圧倒的な力で。
―――――――挟み打つ。それが得策だ。
進路を少し南にとり、サッシュたちが鎧を足止めした際に――――こちらは正面から叩く。
――――憲兵を中心に、多くが死ぬ地獄絵図になるだろう。
それでも私はこの修羅の道を歩くと決めている。
どれだけ血に塗れようと―――――、
人類のため………いや…………本当は――――――
この世界の真実に辿り着き、俺が俺自身を赦し、贖罪から逃れて己を肯定するために。
その先に―――――君との幸せな未来があるんだと、そう信じて突き進む。
どれだけの屍を積み上げたとしても。
自己中心的で強欲で――――、愛する女に溺れた哀れな男の正体を、人類の鉾を担う調査兵団団長という冷静沈着な仮面の下に隠して―――――――
多くの兵士を―――――俺は死に導くんだ。