第11章 交錯
「目の前で、近しい人間が死ぬ。そんな世界だが、それでも行く覚悟があるか?」
「……はい。」
「……例えば、リヴァイやハンジが、死ぬ可能性だってある。」
「私が、死なせません。そのために、行きます。」
私の即答に、エルヴィン団長は目を丸くして驚いていた。
「私は行きたいんです……あの壁の向こうの海と、その向こうの遠い国へ。」
「……………ナナ、いつか歌ってくれたあの歌を、もう一度聞かせてくれないか。」
「喜んで。」
私はソファから立ち上がると、大きく息を吸い込こみ、歌った。エルヴィン団長は目を閉じて私の歌を聞いていた。
「………この歌はどういう意味なのか、知っているのか?」
「はい。」
私はその歌の意味を話した。
世界は変えられる。
きっと誰にとっても良い方向へと。
人々は命を落とすけれど、それでも。
前を向いてより良い世界を望む。
――――希望に満ちた歌だ。