第11章 交錯
「………初めて、言われました。」
「そうか?最年少で医師になったことも、生半可な努力ではなかっただろう。自分を甘やかすことなど、いつでもどこででもできてしまうのに、君はそれをせずひたむきに自分の武器を研ぎ澄ませて来た。戦闘力という強さではないが、君の力はこの調査兵団の中で、他の誰も持ちえない武器になる。改めて、入団してくれたことを感謝するよ。」
エルヴィン団長は、兵士として私の存在を認めてくれている。力になれるのだと、言ってくれる。
これほど嬉しい事があるだろうか。私は、目頭が熱くなった。
「光栄です……!」
「………それで、本題の壁外調査についてなんだが。」
「はい!」
「今回の壁外調査は、もちろんこれまでとは勝手が違う。もちろん今まではウォール・マリアの外の調査だったのが、今回はウォール・ローゼからウォール・マリアの間の状況を確認するという内容になる。ウォール・マリアの中にどれほどの巨人が存在しているかも定かではない。それに加えて、更にこの間の一件で、君の参加は見送るべきだと思っていたんだが………、君の意見を聞こう。君は、どうしたい?」
「私も、一緒に行かせてください。」
「そう、言うだろうなと思ったよ。」
エルヴィン団長は、くすっと笑った。
が、すぐにその目は真剣な眼差しに変わった。
「……生きて帰れる、保証はないぞ。」
「……はい。」