第124章 白日
エルヴィン団長からの班構成や指示が終わったようだ。
兵士が一旦散り散りになる。
馬を降ろすためのリフトも設営ももうすぐ完了する。それが終われば―――――いよいよ、多くの仲間がエレン奪還のために壁外へ向かう。
私は複雑そうな表情で空を見上げるコニーに声をかけた。
「コニー。」
「あ…っ、はい、ナナさん……。」
「あの、コニーたちと一緒にいたはずの……ミケ分隊長やナナバさん、ゲルガーさん、リーネさん、ヘニングさんの姿が……ないんだけど、まだ合流してないのかな……?知ってる……?」
「―――――えっと……。」
コニーの表情が青ざめた。
まさか。
「………ミケ分隊長は……俺達を逃がすために巨人9体の中に突っ込んで行きました……それから、姿を見てません……。」
「―――――っ………。」
思わず、口元を押さえた。
嘘だ。
嘘……だって強いもの。
ミケさんは、リヴァイ兵士長の次に強くて――――仲間想いで――――、また私の話を聞いてくれるって、約束したのに……。
「リーネさんとヘニングさんは……獣の巨人からの投石により即死………、ナナバさんとゲルガーさんは……っ………、ガスと刃が切れるまで俺達を守るために戦って―――――………2人共、巨人に食われました………。」
「―――――………。」
駄目だ、私があまりに大きく乱れたら、コニーだって可哀想じゃないか。
言いたくなかっただろう。
思い出したくなかったはずのことを、私が掘り起こさせてしまったんだ。
「……そう、教えてくれてありがとうコニー………。」
「……いえ………。」
「死なないで、ね………。」
私が小さく発破をかけると、コニーが拳をぎゅっと握って言った。
「――――あのっ……。」
「ん……?」
「ナナさんは、巨人は元々……なんだと思いますか……?!」
「――――巨人が、元々、何か………?」
コニーは小さく震えながら、俯いて言葉を並べた。
彼の中の嫌な予感を、誰かに否定して欲しいみたいに。