第124章 白日
「俺達はガキで……何一つ知らなかったんだよ。こんな奴らがいるなんて知らずにいれば……俺は……こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのに……。」
何のことだ。
何を言ってる?
――――だが、何かの意志を固めてしまったんだということは、わかった。
そして―――――さっきライナーが言った言葉が、決して錯乱して出た言葉じゃなく……俺達を欺いて守っている真実があるってことを示していた。
「もう俺には……何が正しい事なのかわからん……。ただ、俺がすべきことは自分のした行いや選択した結果に対し―――――戦士として、最後まで責任を果たすことだ。」
ライナーが巨人にかみ砕かれたはずの右腕の包帯をとった。
そこは俺が怪我した時に起こるのと同じように―――――巨人のそれと同じように―――――蒸気を上げて、修復を始めていた。それを見たベルトルトもまた、何かを決意したように言葉を繋いだ。
「ライナー……やるんだな?!今……!!ここで!!」
「ああ!!勝負は今!!ここで決める!!」
ライナーの目に闘志が漲ったその瞬間、俺の背後の風が切れた。目にもとまらぬ速さでミカサがライナーの首を跳ね飛ばそうと刃を一閃した。
更に左手で握り締めた刃は、ベルトルトの首を狙って空を切った。
同時に鮮血が噴き出した。
ただ俺は、それを見ていた。
微動だにすることもできずに。
ライナーが体当たりして、ミカサを吹き飛ばした。
あのミカサでも、2人の命を絶てなかった。
俺の頭の中は、一瞬無になった。
なんで。
なんでミカサは仲間を躊躇なく切り捨てられた?
そしてライナーもベルトルトも、動脈を破られるほどの斬撃でなぜ生きてる?
その答えなんて分かりきっていたのに。
受け入れることを拒否していたんだ。