第123章 優等生
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私たちを守るために戦ってくれた、リーネさんもヘニングさんも、ゲルガーさんもナナバさんも死んだ。
私たちは何もできない。戦って抗うことすら。
ただ食われるのを待つのみだ。
そんなのってないじゃない。
なんで上官の皆さんは死ななきゃならなかった??
みんなはいいとしても、私が仲間の命に代えて生かされる価値なんてあったの?
――――産んだ母親にすら愛されなかった私に。
混沌とした頭の中で、確かに私の本心が疼いた。
いい子でいたい。お母さんから愛されるように。
良い人でいたい。仲間から愛されるように。
いい人間でありたい。生きていていいんだと思えるように。
「――――私も、戦いたい。何か……武器があればいいのに。」
今にも崩れそうな塔の上で夜明けを待ちながら、呟いた。
「そしたら一緒に戦って死ねるのに……!」
私の言葉にユミルが苛立ったように私に言葉をかけた。
「クリスタ……お前まだそんなこと言ってんのかよ。」
「え……?」
「彼らの死を利用するな。あの上官方はお前の自殺の口実になるために死んだんじゃねえんだよ。」
「そんな……そんなつもりは……。」
なかったと言える?本当に??
いや、確かにあった。ユミルには見透かされているんだ。
――――私が心の奥底に持つ、自滅的な思考を。
「お前はコニーや上官方とは違うだろ!本気で死にたくないって思ってない……。いつも、どうやって死んだら褒めてもらえるかばっかり考えてただろ?」
「そんな……そんなこと………!」
そんなことはないと、言えない。だってそうだ。
私の生きる意味なんて無くて――――、ただ“いい子だった”と後々言われればそれでいい。
誰かが私の死に様を褒めてくれて、こんな弱くて汚い私じゃない、強くて綺麗な私に―――――その頭の中で、創り上げてくれたらそれでいい。
「クリスタ。もう覚えてねぇかもしれねぇけど―――――思い出してくれ。雪山の訓練の時にした、約束を―――――……。」