第123章 優等生
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ハンジさんの指示で俺達はエルミハ区から南西にあるウトガルド城跡に向かった。
ちょうど壁が見渡せそうなところに位置していて、もしかしたらミケ分隊長や104期の奴らがここで夜を凌いでいるかもしれない。
それに、この世界の鍵を握るクリスタが死んじまう前に助けなければ。
色んな想いをぐるぐると頭の中に巡らせながら、アルミンとミカサを含めた小隊を編成して共に馬を駆った。
月明りが時折射していた夜が徐々に夜明けに近付いて来る。
辺りが明るくなり始めて、視界も良くなってきた。
「――――ハンジさん……。」
「なに?エレン。」
「エルヴィン団長やナナは………今、どこにいるんでしょう……。」
「さぁ……連絡手段は今皆無だからね。……おそらくだけど、行くとしたら王都の兵団本部……そこでザックレー総統に最新情報の伝達と派兵を取り付けて、憲兵を率いて南下するんじゃないかな?」
「す、すごい移動距離ですよ……!ナナさん耐えられるのかな……。」
アルミンがぎょっとした顔で言った。俺もそう思う。
ナナはお嬢様の乗馬レベルでしか馬に乗ったことないイメージだ。
「…………ナナ、大丈夫かな……。」
「大丈夫だって!君たちが思っているよりもナナは逞しいし―――――、エルヴィンがついてる。」
ハンジさんがははっと笑った。
「そう言えばこんな時になんですが、ハンジさん。」
「ん?こんな時だから何でも聞いてよ。じめじめばっかりしてちゃ、気持ちまで疲れるしね!」
アルミンが口を開いたその内容に俺は驚愕した。
「――――ナナさんは、エルヴィン団長と恋人関係にあるのでしょうか?」
「はっっっ?!?!」
「え??そうだよ。相思相愛……だけどまぁエルヴィンがナナにベタ惚れってとこかな。」
「えっっっっ?!?!」
「やっぱりそうなんですね。」
なんで俺だけこんな驚いてんだよ。
というかなんでアルミンは知ってるんだ。
あれ、でもおかしい。
前に聞いた話と辻褄が合わない。