第11章 交錯
「そうか、良かった。ナナ、もう冷えるだろう、中で話そう。団長室に来てもらえるか。」
「はい、すぐに!」
私は立ち上がり、敬礼をした。
一緒に戻ろうとハンジさんを見たが、立ち上がる気配がない。
「ああ、私はもう少しここで星を眺めて帰るよ。」
「そうですか、では………。」
「ん、また明日ね。」
私は屋内へのドアに手をかけ、最後にハンジさんの方を振り返った。
「ハンジさん。」
「ん?」
「ハンジさんのことを考えてみたのですが、ハンジさんは特別な感情で、好き、です。」
「へっ?」
「訓練の時、ハンジさんの事を探してしまいますし、見つけると嬉しいですし、ハンジさんにぎゅっとされると嬉しいです。私もぎゅっとしたくなります。……ハンジさんの力になれるなら、どんなことでも出来そうな気がします。」
ハンジさんは、目を丸くしていた。また的外れな事を言ってしまったのかと、恥ずかしくなった私は、足早にエルヴィン団長を追った。
「ん~………あれはマズい。女の私でもキュンとしちゃったじゃないか。」
一人残されたハンジは、星空を見上げながらつぶやいた。
「あれが計算でないとしたら、本当に厄介な子だな……。頭が良いのに、自分の感情にはとんでもなく鈍感だ。それに、リヴァイへの想いは、もっと幼い憧れかと思っていたけど……想像以上だね……。リヴァイも、苦労するわけだ……が、私はすぐに解決させる手助けをするほどお人よしじゃない。しばらくは二人の想いが交錯する様子を、楽しませてもらうとしよう。」
ハンジは空を見上げて、小さく笑った。