第121章 一変②
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「――――こういうわけだから!準備が出来次第発つよ!!」
慌ててやってきたハンジから、エレンを連れてエルミハ区へ発つというエルヴィンの指示を聞いた。
何やら騒々しくなったと思ったら――――そういうことか。
いよいよだな。
本格的にここから、一つ一つの初動がこの先の人類の未来を分ける。
その先は――――人類の滅亡か、存続か。
「――――了解だ。」
「エレン、ミカサ、アルミン。いいね?」
『はい……っ……!』
ハンジが荷馬車を手配し、護送に付く奴らにルートと今回の指示を俺から伝える。
エレンやミカサ、アルミンは立体機動装置の装備を取りに宿舎に戻った。ハンジが壁内地図をまじまじと見ながら、その地形を頭に叩き込み、突破されそうな部分に当たりをつけるように思考している。
そんな中、ハンジの背後から、何とも言えねぇ複雑な面をした――――ウォール教の司祭・ニックが声をかけた。
「――――おい……。」
「ん?……あぁニック司祭。何か用?」
「…………。」
辛気臭ぇ面をしたまま黙るニックに、珍しくハンジが苛立った口調でまくしたてる。
「――――あなたたちはこの状況をどう見てる?さぞかし愉快なのかな。何も知らず、情報をかき集めて人類のために、と奔走する私たちが。」