第11章 交錯
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あの事件から二週間。
私はもうすっかり傷も癒え、日常が戻っていた。
リンファは約束通り私に立体機動の訓練を個別につけてくれ、もたついていた立体機動も、随分様になってきていた。
兵士の皆さんの状態管理も継続し、報告書に書き続けている。
あれから、リヴァイ兵士長とは執務以外の話をしていない。幸い……なのか、専属補佐を解かれることはなかったが、明らかに以前とは違う。意図的に距離を置かれているのがわかった。
私もあえてそこに触れることはなく、与えられた任務を黙々とこなし、執務室を後にする。そんな日が続いていた。
「あぁナナ!!」
「ハンジさん!」
ある日の夕食後、廊下でハンジさんに話しかけられた。おいで、と連れられ、兵舎の屋上で二人並んで星を眺めながら話をした。
「怪我はどう?随分立体機動も上達したって聞いたけど。」
「お蔭さまで!怪我はもう全く気になりません!立体機動は皆さんに比べればまだまだですが、それでも思うように動けるようにはなりました!」
私は満面の笑みでハンジさんに返答する。
「良かった……!ナナの笑顔は、見ているだけで心が和むよ。」
ハンジさんは私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「ふふ、私はハンジさんにこうしてもらうのが、大好きです。」
私もハンジさんの背中に腕を回して、彼女の身体を抱きしめる。