第120章 一変
班員構成はナナバ・ゲルガー・オリバーを筆頭に8名編成で連れていく。
ナナバを連れていくことに迷いはなかった。
俺の半身であり、信頼できる仲間であり――――叶うなら一生側にいて欲しい、そんな女だ。
ナナバを探して宿舎をうろうろしていると、作戦会議室の一室でナナバとゲルガーが話しているのを見つけた。ちょうどいい、ゲルガーにも話をしておこう。
戸を叩いて返事を確認して中に入る。
「ミケ分隊長。どうかしましたか?」
「ナナバ、ゲルガー。急な話だが任務だ。」
経緯を話すと、2人共どうにも頭がついて行かないと言った表情を見せたが、なんとか理解を示した。
「新兵の中に――――、女型の共謀者が……か。まさか、そんなことが……。」
ナナバが苦虫を噛み潰したような顔をする。
「――――エルヴィンは最初から調査兵団に“敵”を誘い込んでいたからな。新兵の勧誘演説の時からこうなることはわかっていた。」
「――――了解しました、ミケ分隊長。出立は?」
「2日後早朝。エルヴィン達を迎えに来る護送団が来る前に出立する。早朝五時……くらいか。詳細はこれから詰めて掲示する。必ず明日の朝目を通すように。そして夕方には準備を兼ねた会議を行うつもりだ。」
「…………。」
「はい。わかりました。」
どうしたのか、ナナバは俯いたままだ。
「――――ミケさん、あとのメンツにも今のと同じ内容を伝えるんですか?」
「ああ。」
「俺代わりに行きますよ。任せてください。」
「助かる。頼めるか。」
「はい。」
ゲルガーはきっとナナバの様子を見て、俺にも気を遣ったのだろう。調子の良い奴だが、いつも周りをよく見てうまく立ち回るために、仲間からの信頼も厚い。
ゲルガーが部屋を去って、久しぶりにナナバと2人になる。