第120章 一変
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リヴァイとは特段親しかったわけではないが、ナナが来てリヴァイに変化が見られるようになって――――気付けば酒を飲み交わすような仲になっていた。
月日が経つのは早いものだと、そして人というのは人によって変化するものなのだと実感する。
リヴァイとの話を終えて部屋を出て、精鋭班に選んだ人物に声をかけに回るか、と廊下を歩いていると、透き通った明るい声が俺を呼んだ。
「――――ミケさん!!」
振り向くと、まるで子犬が懐いて尻尾を振って寄って来るような顔で駆けてくるナナが目に入る。
「ナナ。どうした。」
「しばらく別行動になる、ので……あの……、104期のみんなを、どうか……宜しくお願いします……。」
わざわざそれを言いに、走ってきたのか。
ナナはぺこりと頭を下げた。
彼女の律儀なところは、いつもとても好ましい。ふと笑みがこぼれて、頭をぽんぽんと撫でる。
「―――大丈夫だ、すぐ戻る。ただただ104期の中に共謀者がいない事を願うまでだ。」
「はい………!」
「―――じゃあな。エルヴィンを頼む。」
「あ、あの――――……。」
「どうした?」
珍しくナナが俺を呼び止める。じっと俺を見つめて見上げて、口を開いた。
「―――ミケさん、次に時間を取れる時でいいので、またお話できますか?」
エルヴィンと生きていくことの決意でも述べようとしているのか。その表情は僅かに不安げだ。
「ずっと私やリヴァイさんのことを気にかけて下さっていたミケさんに、ちゃんと伝えたいんです。今の私の――――心の内を。」
「――――ああ、もちろんだ。楽しみにしている。」
「……はい!」
ナナの笑う顔は心が和む。
「―――――さて、穏やかに済むと、いいがな。」