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【進撃の巨人】片翼のきみと

第120章 一変




―――――――――――――――――――――――

エルヴィンからの104期生隔離の指示を終えて、ミケは班員の目星をつけようとしているようだ。

顎に手を当てて、何かを思考している。



「――――おいミケ。」

「なんだリヴァイ。」

「――――何か、起こるかもしれねぇ。これまでの巨人の急襲も全て――――綿密に組まれた計画じゃねぇ。感情に突き動かされやすい――――ガキ共の可能性は大いに高いと俺も踏んでる。」

「――――ああ。」

「………俺が役に立たねぇ状態で、悪いな。」



俺が小さく謝罪の言葉を口にすると、ミケは心なしか笑んだように見えた。



「――――たまにはゆっくりしてろ、兵士長。お前が守るべきものはとてつもなく厄介だ。これからのために早く治せ。」

「ああ。わかった。お言葉に甘えるとしよう。」

「その代わり。」

「あ?」

「――――次の飲みの酒は、お前持ちだな。」

「……は、どいつもこいつもちゃっかりしてんな。――――了解だ。このクソみてぇなあれこれが片付いたら――――随分美味い酒が飲めそうだしな。」

「ああ、そうだな。」

「…………。」



俺が言葉を探して黙ると、ミケがすん、と鼻を鳴らした。





「――――ナナバは連れていく。」



「あ?」



「――――だが守らない。共に戦う。お前はどうする?」





ミケの問が指している厄介な奴の顔が頭に浮かぶ。

いつだってこんな面倒くせぇ人類の勝利も平和も全て投げ出して、あいつだけ奪い去ってあいつだけ守って、美しい世界を見せてやりたい。







「――――あいつとエルヴィンの意志を尊重する。だからまぁせいぜい、早く足を治してあいつらの側で俺の役目を全うすることにする。」





「――――いつもいつも損な役回りだな。」







ミケがふっと笑う。







「うるせぇよ。」





「――――だがお前を誇りに思う。」





「――――………。」







ミケはそう言い残して、部屋を去った。










酒も入ってねぇのに随分と赤裸々な話をした上に柄にもなく ”約束” を交わしたのは――――――









もしかするとこれが最期になる可能性を、お互いどこかで察知していたからなのかもしれない。




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