第119章 黙秘
会議が終わってすぐ、はぁーーーっと大きなため息をついて背中を丸めるアルミンが目に入った。
「どうしたのアルミン。体調悪い?」
「ナナさん!い、いえっ、あの……まさか幹部の皆さんの集まる作戦会議に同席させてもらうなんて、その……緊張が、今になって………。」
アルミンが慌てふためいて汗を流す様子を見て、驚きとともに嬉しくなった。
「あんなに堂々としていたのに?緊張してたの?」
「も、もちろんです!」
「ふふ。でも頼もしかったよ。今回の作戦も、アルミンが提案してくれたから進めることができる。」
「いえ、ナナさんこそ―――――、まるでエルヴィン団長の半身のようで……いや、補佐官というのはそういうものなのかもしれないですけど――――、なんと言うか……。」
「ん?」
「――――通じ合っているんだな、と。」
アルミンが私を見る目が、キラキラしている。
アルミンの目には――――団長の意向に沿い、適切な提案と準備を適切に進める有能な補佐官に映っているのかもしれない。
――――実態は、困らせて、公私混同させて、私情半分で愛しい人を失いたくないと心を乱すような―――――とても優秀とは言えない補佐官なんだけれど。
「………ありがとう。嬉しい。――――絶対やり遂げようね、アルミン。」
「………はい!」
言葉を少し交わして、アルミンの背中を見送った。
きっとしっかり、アニ・レオンハートを誘い出してくれる。
私は団長補佐として参集される最前列でエルヴィン団長とリヴァイ兵士長と共に進むことになるから、その様子は見届けられないけれど―――――、きっと、やってくれると信じる。