第119章 黙秘
「ウォール・シーナ内の兵団の技巧科本部に向けて、女型捕獲に使用した捕獲用兵器を運搬するため、という口実で事前に地下道入り口付近の住民避難をさせると、駐屯兵団の師団長に一報入れておくべきかと。師団長の人格を私は存じ上げないのですが―――――もし細部まで事細かに追及をされるような人物であれば難しいかもしれませんが……。」
「―――ストヘス区の師団長は見知っているが――――、おそらく後々王政や兵団に対して言い分が通る体裁さえあれば、面倒事は黙認するだろう。それで進めていい。師団長には私から書状を書こう。早馬の手配を今日の午後にでも手配してくれ。」
「承知しました。」
「―――エルヴィン、壁上への派兵は必要?―――できるに越したことはないけど、あまりに仰々しくなるのは良くないか……。」
ハンジさんが問う。
万が一のことを考えて、逃走防止や壁上固定砲を使わざるを得なくなった時の為に派兵するかという問だろう。確かに壁上に調査兵団がいると、勘の良い人間なら違和感を感じるかもしれない。
「いや、壁上への派兵はなくていい。その分地下道入り口付近への派兵を増やす。女型拘束のための精鋭班と、避難誘導班の人員配置についてはハンジ、検討・伝達と当日の指揮まで頼めるか。」
「了解!」
「――――ミケには別で頼みたい事がある。この後別件として話す。幹部とアルミン・ミカサは残ってくれ。」
こうして、ごく僅かな時間で2日後の―――――私たち調査兵団の今後が決まると言っても過言ではないその作戦が組み上がっていった。