第117章 戦慄②
「戦うことも、守ることも―――――、治すことも、目を逸らさずにその死を見届けることすら……!私は――――……また、なにも、出来なかった………。」
「――――お前があの女型相手に何ができたと思う。」
「…………。」
「戦闘に於いてお前に何の期待もしちゃいない。死ななかっただけ褒めてやる。」
「…………。」
リヴァイさんが口を悪くまくしたてるように話すのは、とてもわかりにくい優しさだ。
その言葉の後ろに、『よく生きていた』と――――、ありったけの愛情を隠して、私を導こうとしてくれる。
「何度も言ってる。お前にしかできないことをやれと。――――それで?俺の足の容体はどうなんだ。」
「…………普通なら、全治1か月……というところ、です……。」
「――――ちっ、これから忙しくなるって時に………ざまぁねぇな。」
「――――ミカサを助けてくれた時の怪我だと、聞きました……。」
「…………。」
「エレンも、救ってくれた。――――いつだってこうやって……あなたは自分を省みずに――――大切なものを守ってくれる。」
「………それが俺の、生きる意味だ。」
「――――ありがとう、リヴァイさん――――………。」
包帯を巻いていた手をとめて、リヴァイさんの目を真っすぐに見上げてちゃんと伝える。
ただリヴァイさんは目を細めて、私の髪をくしゃ、と撫でた。