第116章 戦慄
「エレン!!!約束したでしょ……?!」
――――確かに約束した。俺が巨人化していいのは、俺の命が危うくなった時だけだと。
そうならないように、リヴァイ班の面々がついていてくれる。それに――――もし巨人化して自我を失ってもまた、リヴァイ班が止めてくれると。
でも―――――、でももうこれ以上仲間を見殺しにはできない。力を持っている奴が戦わなくてどうするんだ。
「エレン。」
リヴァイ兵長の冷たい声にびく、と一瞬手が震えた。
「お前は間違っていない。やりたきゃやれ。」
「……兵長?!」
「俺にはわかる。こいつは本物の化け物だ。巨人の力とは無関係にな。どんなに力で押さえようとも、どんな檻に閉じ込めようとも――――、こいつの意識を服従させることは、誰にもできない。」
―――――兵長の並べる言葉が意外すぎて、まるでこの轟音と差し迫る恐怖と仲間の死の中だということを忘れるほど、その声は静かに俺の中に入ってくる。
「お前と俺達との判断のそういは経験則に基づくものだ。だがな……そんなもんはアテにしなくていい。選べ。自分を信じるか、俺やこいつら、調査兵団組織を信じるか、だ。」