第116章 戦慄
「俺達はこのまま馬で駆ける。いいな?」
「了解です!」
「?!えっ……?!駆けるって……一体どこまで……?!それに!奴がもうすぐそこまで……!」
振り返った先には、また増援の兵士の姿があった。
あんな得体の知れない化け物に挑むなんて、どれほどの勇気が必要だろう。そしてまたあっけなく、殺されてしまうかもしれない。
「増援です!早く……援護しなければまたやられます!」
「エレン!!前を向け!」
「……グンタさん…?!」
「歩調を乱すな!最高速度を保て!!」
「エルドさん!!!なぜ……リヴァイ班がやらなくて誰があいつを止められるんですか!」
何を考えてる、なぜ目の前で死にゆく仲間を見殺して――――馬鹿みたいに前を向いて逃げることしかしない。
そうしている間に、またあっけなく増援の2人の内の1人もただの潰れた肉塊に変わった。
「また死んだ!!!!助けられたかもしれないのに!!」
もう1人はそれでも果敢に戦っている。
それは自由の翼を背負う誇りがそうさせているのか?死んでも役割を全うすると?いや違う、俺たちの――――仲間の助けを信じているから戦っているんじゃないのか。
なのになぜリヴァイ班は戦わない?
せめてその理由を話せよ。
立て続けに目の前で命を散らした仲間の姿は、俺の中で迷いを生んだ。
――――リヴァイ班になんて頼らず、自分で戦えばいいじゃないか。
そう思って右手を口元に寄せる。それに気付いたペトラさんが、悲しい顔で制止しようとする。