第115章 継受
「――――君の言う通りだ。アルミンはミカサとともに、エレンから切り離せない存在だ。そうなればおのずと注目される。厄介ごとは無駄に背負い込まない方がいい。四方八方に敵を作るのは、私だけで充分だ。」
「ふふ、かっこいい。」
「今、馬鹿にしただろう。」
「いいえ?好奇心と野心が大きければ大きいほど、敵は増えますもんね。だから私も一緒に戦います。あなたが側に置いてくれる限り。」
「――――側に置くどころか、離さないと言ったろう。」
エルヴィン団長が私の髪に触れる。
その蒼い瞳に、熱を含んで私に向ける。そんな熱に私は惑わされない。
私だって成長してるんだから。と態度で示すように、髪に触れた手をぱちん、と払った。
「執務中です。この手はどうぞお引き取りください。」
「相変わらずつれないな。」
「大変優秀な補佐官は、執務中の怠惰を許しませんから。」
「ふふ、なるほど。ではその兵服をはぎ取ってから、存分に愛でるとしよう。」
「――――その時は………どうぞあなたの、望むままに。」
「……また3時間しか眠れないな、これは。」
「それでも、ソファでの仮眠だけよりましです。」
「そうか。」
少しの悪態をつき合いながらも愛しさを込めた視線を絡ませて、また執務に戻った。