第115章 継受
「――――フリゲン・ハーレット氏とワーナー氏の持つ情報の質がまるで違うな。」
「はい。ワーナーさんの方が圧倒的に外の世界に近い……。」
「ああ。」
「………ワーナーさんは、2人を危険な目に……合わせたくなかったのかもしれない……。偽名も使っていたし、もちろん前提としてその思いはあったにせよ――――、2人が思うよりももっともっと、慎重に――――2人に出す情報さえ、調節していた……?」
「……かもしれないな。歳から考えても、ワーナーさんと私の父やアルミンの祖父とは親子ほど歳が離れている。……前途有望な若者たちを守るために……とは十分考えられる。」
「じゃあなぜ、私に全てを託したのだろう……。」
「――――年老いて――――死期を悟った。とかな。あとは………リヴァイが守り切ってくれると信じていたからかもしれない。」
「――――………。」
ワーナーさんはリヴァイさんの背にその大きな可能性と希望を見ていた。
小さな私でも感じていたほどだ。
それを痛いほどリヴァイさんも理解していたから――――、ワーナーさんがリヴァイさんに託した“私を守ること”を、律儀に守り続けてる。
確かに、そうなのかもしれない。
「――――まぁ全ては想像だ。埒が明かないな。」
「ふふ、でも……いいじゃないですか。これから1つずつ解き明かしていきましょう。」
「そうだな。」
「あ、それに。」
「ん?」
「ありがとうございます。」
「なにがだ?」
「アルミンを守ろうとしてくれて。」
エルヴィン団長の方に顔を向けてにこ、と微笑んで伝えると、エルヴィン団長がふ、と小さく満足げな笑みを浮かべた。