第115章 継受
「――――そうだな。不本意だが起きるか。」
「今日もよろしくお願いします、エルヴィン団長。」
ナナはシーツを纏ってクローゼットから俺のシャツを取り、俺の着替えを促す。俺が袖を通したことを確認すると、自分も下着を着けて着替えを始める。
その様子をじっと見つめる。
白銀の髪を片側に寄せて、白い胸を下着に納めて後ろ手で金具を止める仕草がなんともセクシーだ。
俺の視線に気付いたのか、ナナが振り返ると翼のネックレスが揺れた。
「……?なにか……?」
「……いや、いい女がいるなと思って見てた。」
「……褒めたってもう一戦は交えませんよ。」
「おや、つれないな。」
ナナはやれやれ、といった顔でふっとため息をこぼすと、側に来てまた俺を胸にきゅ、と抱いて嗜めた。
「いい子だからエルヴィン、着替えようね。」
そう言って俺のシャツのボタンを止め始めた。左手の指先が思うように動かないはずなのに、器用にボタンを通して行く。
「――――なぁナナ。」
「ん?なに?」
「やっぱりいつだって、君を永遠に手に入れることを考えてしまう。俺は――――おかしいのだろうか。」
俺の言葉にその手を止めて、ゆっくりと視線を俺に上げた。
「おかしくないよ。愛してる人に抱く気持ちとして自然なことだと思う。」
「……そうか。」
「ふふ。」
「どうした?」
「永遠を信じなかったエルヴィンの言葉とは思えなくて。」
「……そうだな。自分でも驚きだ。」
「……そんなに欲しい?永遠に、私が。」
ナナがふふん、と悪戯な目で俺を見上げて言う。
「あぁ欲しい。欲しくてたまらない。」
つい今しがた、上から目線でふふんと鼻を鳴らしたにも関わらず、今度は俺の言葉に驚いた顔で赤面する。
なんでこんなに可愛いのか、俺の恋人は。