第114章 日々 ※
何とか空が白む前に、まだ“夜”と呼べる時間に執務が終わった。
湯を浴びて、エルヴィン団長が私室のベッドに横になったのを見て、私はほっとした。
――――のだが。
「――――ん、ぁ、あのっ………承った業務内容……はっ………!」
「――――なにかな?」
「……添い寝……って……!んっ、あ……やっ……!」
私の身体を抱き枕のように背中からぎゅっと抱きしめて、最初こそ大人しくしていたけれど――――このいい歳した男は、当たり前のようにその大きな手を私の身体に滑らせる。
臍から体の中心を撫で上げるように絶妙な指使いで私を翻弄したかと思うと、意地悪くその指先で私の胸の先を弾く。
「ひゃっ!」
「――――温かくて柔らかくて滑らかでいい匂いがして――――、良い声で鳴く。これは、良く眠れそうだ。」
「そう思うなら、寝て……!」
「――――寝られるわけがないだろう?」
「本末転倒……っ……ぁあ……だめ、やっ……!」
その指が今度は足元に向かって滑り、太ももを撫で下ろしたかと思えば、内腿を這い上って来て―――――下着の上から、くに、とそこを弄ぶ。
「ん、ふ……っ……ぅ……。」
「――――感じてる。とろとろだ、もう。」
じっとりとした下着の横から器用に指を差し込み、そこをなぞる。久しくこうして触れあう時間なんてなかったから、こんなことをするよりも眠ってもらわなきゃという思いとは裏腹に――――触れて欲しいと身体が疼く。
「やめ、て……。」
「――――嫌か?」
「……ちが……っ……。」
「じゃあなぜやめてと言う……?」
「…………っ……だって……。」
息が荒くなる。心臓が飛び出してしまいそう。
背中越しの温もりと香水の香りはいつもなら私を落ち着かせるのに、この時ばかりは情欲を掻き立てる。
いつからだろう、まるでこの行為を―――愛を伝え合うためだけじゃなく、『生きている』と実感したくて求めるようになったのは。