第10章 愛執
「………信頼してないわけでは……っ……ありません。ただ、……迷惑をかけたくないんです………っ!」
「……サッシュのことも信頼しているなら、隠さずちゃんと伝えるべきじゃないのか。今傷ついても、これからあいつは仲間への接し方を変えられる。」
「―――――――――――。」
「今、傷つかないようにする事が相手を守る事だと思っているなら、大きな間違いだ。何も知らないまま、惚れた女に庇われ、気を遣われていることも知らず、お前を守る英雄気取りでいることを、良しとする奴だと思うか?………俺なら、耐えられねぇがな。」
「――――――――――――仰る……通り………です………。」
本当にそうだ。
私は、自分の都合でサッシュさんを庇おうとした。
これ以上自分を責めなくていいように、良い人間であろうとした。
私の中の卑怯な本性に、呆然とする。
リヴァイ兵士長は力なく答える私の肩から手を離し、目線を下げた。