第114章 日々 ※
「ちょっとジャン!!!また綺麗なオネエサンばっかり見て!本当に厭らしいですね!」
「そうだもっと言ってやれサシャ!『てめぇみてえな馬面、誰が相手にされるかよ』ってな!」
「うるせぇなコニー!!今空気的にそんな馬鹿みてぇな話するとこじゃねぇだろうが!空気読めよアホだなお前は。」
「あぁ?だれがアホだこの馬面!」
「――――やめて。新兵みんな馬鹿だと思われる。」
「そ、そうだよ……みんなちょっと、静かにしようよ……!」
ミカサもアルミンもようやく対策本部から調査兵団に帰る事を許されて今、この廊下の先にいる。21人の同期。その中に敵がいる。おそらく―――――高い確率で。
エレンやミカサ、アルミンは―――――仲間に刃を向けることになるのか。なんて、辛い。
ミカサとアルミンとジャン君以外はそこまでまだ面識もない。ずっとバタバタしていて、離すこともままならなかったから。
私はその楽し気な声に吸い寄せられるようにして廊下へと進んだ。
「―――あ、ナナ。」
足音に敏感に気付いて振り返ったのはミカサだ。
「訓練後だっていうのに、皆元気だなぁと思って。私なんてくたくただよ。」
「団長補佐の方じゃありませんか……!」
「そう、ナナです。宜しくねサシャ。」
「あ、はいっ…!」
「コニーも。話すのは初めてかもしれない。」
「あぁはい!宜しくお願いします!」
「それに……ジャン君、こないだは本当にありがとう。」
改めてリエトのことに御礼を言うと、ジャン君は照れたように俯いた。
「いえ、当然のことなんで。」
「……カッコつけてんなぁジャン!てかなんでナナさんはジャンだけ“君”付けなんすか、ジャンでいいっすよ!」
「あ、ほんとだね。なんか……なんとなく。」
「コニーお前マジでうるせぇから!」
「じゃあ次からジャンにしよう。いい?ジャン。」
「は、はいっ……。」