第113章 奏功
「――――おいクソメガネ、どうした。」
「――――いや、ナナに会いたいなと思って……。」
「ああ……確かにな。あいつの知識が有益に働きそうだ。」
「うん……。」
嫌な想像が沸いて出る。そんな中、グンタが口を開いた。
「つまり……エレン、お前が意図的に許可を破ったわけではないんだな。」
「はい……。」
エレンの肯定を聞いて、4人はふーーーっ、と息を吐いて、少しの罪悪感を含んだ安堵の表情を見せた。そして各々の手に、思い切り噛み付いた。
「ちょっと!何やってんですか?!」
「いってぇ……。」
「これはキツイな……。エレン、お前よくこんなの噛み切れるな。」
「俺達が判断を間違えた。そのささやかな代償だ。だから何だって話だがな……。」
「え?」
エレンがきょとんとしつつも、その意味を理解しようとしている。
「お前を抑えるのが俺達の仕事だ。それ自体は間違ってねぇんだからな!調子乗んなよガキ!」
「ごめんねエレン。私達……ビクビクしてて間抜けで失望したでしょ……?でも……それでも……1人の力じゃ大したことはできない。だから私たちは組織で活動する。私たちはあなたを頼るし、私たちを頼ってほしい。」
「―――――………。」
「私たちを、信じて。」
ペトラの真剣な表情と真っすぐな言葉に、エレンは驚いた顔をして―――――あの日の地下牢で俺に見せたような、僅かに嬉しそうな表情で目を伏せた。
懸念した不和など、俺が何かしなくても、こいつらだけでもうなかったことになっていた。
――――いいチームだ。