第113章 奏功
「―――ちょっと!!!黙ってて下さいよ!!!!」
――――一度全員シめるか。
そう思った矢先、ハンジの興奮しきった大声が聞こえた。
「エレェン!!!その腕!!!触っていいぃぃぃい?!!?ねぇ!!!いいよねぇ?!!?いいんでしょ?!?!触るだけだから!!!!」
「ハンジさん……!?ちょっと待って―――――。」
ハンジは興奮状態のままエレンの解答も聞かずに巨人の手を両手でがしっと握った。
……じゅう、と焼けるような音がしたが……。
「あッ…つい!!!!皮膚ないとクッソ熱ッいぜ!!これ!!!!すッッげぇ熱いッ!!!ナナにも触らせてあげたい!!!!うわぁぁああすげぇぇええ!!!!」
「分隊長!!生き急ぎすぎです!!」
追いかけて来たモブリットの制止もきかず、なおもハンジはエレンに問いを続ける。
クソメガネが暑苦しくてうっとおしいが……おかげで4人は冷静さを取り戻した。
「――――おいエレン。」
「は、はい……。」
「気分はどうだ。」
「―――――あまり、良くありません……。」
古城に戻って休息をとる。
焦って実験を進めすぎるのは良くない。エレンの身体もだが、あの4人が頭と気持ちを整理する時間を作ってやらねぇと、このままの状態で推し進めたところで不和が生まれる。
――――あの珍妙な作戦を成功させるために、この特別作戦班の中で不和が生じているような状態は回避しなくてはならない。
古城に戻ってとりあえず4人をエレンから離して俺が見張る。
石段に腰かけるエレンの横に立つと、誰かに思いを話したかったのだろう。
エレンはポツリと言葉を零した。